シルバーバーチの霊訓
モーリス・バーバネルが霊媒となり、そのメッセージを伝えたとされる霊の名。
シルバーバーチの思想をシルバーバーチの霊訓といわれている。
近代心霊主義では、個性を持って独立した死者の霊とコミュニケーション、いわゆる「霊界通信」が可能であると考えられていた。霊媒ウィリアム・ステイントン・モーゼスが霊の「教説」を「自動筆記」でまとめた書籍が『霊訓』であり、心霊主義のバイブルと評された。モーリス・バーバネルが、トランス状態で覚醒時とは別の人格・知性によって口頭で、質疑応答を交えて示された思想(自動筆記ではない)をまとめたものも「霊訓」と呼ばれている。この覚醒時とは別の人格がシルバーバーチ(英: Silver Birch)を名乗る霊であり、三千年前に北米北西部の山脈の中で暮らしていたレッドインディアン(アメリカ・インディアン、アメリカ先住民)であったと誤解されがちだが、シルバーバーチ本人は、インディアンの身体を(霊界側の霊媒として)使用してはいるが、自分はインディアンではないと述べている。その背後には高度に進歩した霊的存在者たちがいて、その教えも説いている、と解釈されている。シルバーバーチは、英語でシラカンバの意味。(以降便宜的に、シルバーバーチを名乗る知性による意見・見解の主語は、シルバーバーチとする。)意識的な人格以外の「知性」が語ったりつづったりするとされる「霊界通信」は、一般的に意識的な人格(霊媒)より筆記や発話の速度や完成度が高いことが特徴であるが、シルバーバーチの場合も同様であったといわれ、速記やテープからおこして、補筆訂正の必要がほとんどなかったという。シルバーバーチは、霊界通信は霊が霊媒の潜在意識を使って送るものであり、理想的な状態なら完全に霊の考えを述べることができるが、ある程度は霊媒の潜在意識によって内容が脚色されることは避けられないと述べている。このような霊と霊媒の間の機構を「潜在意識」の一言で取りまとめる説明は、近代心霊主義においても最も単純な部類である。シルバーバーチは、聖書や神学を引用して聖職者と論争したり、霊媒の潜在意識か独立した知性かという問いに、皮肉交じりに譲歩的な応答をしている。
思想
シルバーバーチのものとされている主な思想を、以下に紹介する。地上人類に必要なのは神学のように遠大なテーマや難解な思想ではなく、初歩的な教えに話を限定するとされており、心霊論を論じた故フレデリック・マイヤーズの霊を名乗る知性による霊界通信とは対照的である。シルバーバーチは質疑応答の形式を取り入れ、親しく身近な人生問題を扱っている。「因果律は魂の進化のためにある」ということが繰り返し説かれ、そのための仕組みとして、正義と進化、償いと成長を可能にする「輪廻」の摂理が説かれる。
目的
シルバーバーチは、人間はスピリチュアルな存在であるという認識やその他様々な真相を伝えるために、霊媒を通して語った霊であるとされる。普段意識することができない人間の霊部分は生活中神様から様々な要求を受ける。その要求は一生続く。人間の生活の中で自分の霊が神様の要求を呑めなかったなんてことはざらにありその選択が人間の行動にまんま反映され人間は神様によく背く。
身体・精神・霊の三位一体
人間は身体(原文:bodyバディー)と精神(原文:mindマインド)と霊(原文:spiritスピリット)の三つの要素が常に一体となったものだが、物理的身体(肉体)は乗り物で、霊こそが真の姿であるとしている。
霊界
死後の霊界での人生の進捗具合は、自分の霊が神様の要求をどれだけ呑んだかによって決まる。本当の正しさは人間に届くのではなく自分の霊に届く。本当の正しさは自分の霊が神様の要求を呑み続けること。本当の正しさはそれ以外に存在しない。実はシルバー・バーチの霊訓の中には間違った記述が存在。肉は食べたほうがいい。神様は命を大切にするか否か。毎日おびただしい命の死亡を発生させた神様は命を大切にするようなものでもない。よって肉を食べない人はそれがその人にとっての正しさとなり神様のほうが常に正しいにもかかわらず神様を否定する資格すらないのに神様を否定してしまう精神構造に陥る。肉を食べる者のほうが神様を否定しないで済む。そのほうが実は真の意味において正しくスピリチュアルである。神様を否定する精神構造が根付くのは絶対に避けられたし。霊界には、地上人類に真理をもたらすために組織された霊の一団があり、シルバーバーチが指揮官であるという。霊団とは「地上経論の仕事において最終的な責任を負っている神庁」であり「その会議で私がこれまでの成果を報告し…指示を受ける」という具体的な組織として描かれている。こういった不可視の世界を目に見えるように描く記述に対しては、心霊主義の主張への信頼性が高まるという意見と、虚構性が高まるという意見がある。シルバーバーチの霊団よりもさらに高級な霊団が存在しており、その霊団の話によればさらに上位の霊団が控えているとされる。また、霊団をとりまとめている指揮官は、地上時代にイエス(ナザレのイエス)と呼ばれた霊であるという。霊界では上層階へ進歩するほど、目の当たりにする光景は躍動的になり、精神を高揚させるものになるとされる。霊界の人々は思念で通じ合えるため、言語・翻訳は必要ないとされる。
輪廻
シルバーバーチは、心霊主義の初期1920年代のフランス人アラン・カルデック、または同年代の故フレデリック・マイヤーズの霊によるメッセージとされるものと同様に輪廻転生説を唱えているが、翻訳者の近藤は、これらの哲理の内容は完全に符合していると考えている。津城は主流の霊界通信の内容は一致しているとはいえないまでも、少なくとも齟齬はないと述べている。シルバーバーチの霊訓では、人間の霊は最終的に輪廻転生を終え、地上への再生から卒業していくとされている。高級霊が人々への感化のために降りてくるケースもあるが、例外的であるという。再生は、霊的成長に最適な場所、タイミング、存在、環境を選んでいるとされる。前世の記憶は、潜在意識の奥深くまで探りを入れれば思い出すことができるが、地上の人間がその域に到達できるかは疑問であると述べている。
誕生
地上に生まれてくる目的は霊によって様々であるが、大抵は欠けた部分を手に入れる経験を補完するため、前世での罪を償うための二つに大別されるとしている。シルバーバーチが唱える輪廻において「業という借金」「償い」は「教訓を学ぶための大切な手段」とされており、津城は「懲罰的な意味は背景に退いているか、まったく消滅している」と指摘している。この点は、償いの問題を重視するアラン・カルデックのスピリティズムとは異なる。地上で奮闘することで霊性に磨きが掛かり、後に霊界へ帰って来た時に好結果をもたらすとしている。肉体に霊が宿ると誕生前の意識が奥に潜み、顕在意識に上がって来なくなるという。また中絶に関しては、妊娠の瞬間からそこに一個の霊があるため、殺人と同じであるとしている。中絶した人は、中絶行為のために地上に誕生できなかった霊といつか対面させられると述べている。
死
死は肉体という名の牢獄から霊を解放するだけであり、喜ばしいものであるとしている。死に際して人間は、物的身体と霊的身体を繋ぐライフラインである魂の緒(シルバーコード)が伸びて行き、完全に切断される。その為、肉体の死とは終わりではなく、霊的生命の誕生であり、物的(マテリアルな)身体が活動を停止するに過ぎず、霊的(スピリチュアル)には記憶や人格はそのまま存続する、としている(人格の存続を伴う輪廻転生は、インドの伝統的な輪廻転生観には見られない)。霊の肉体への執着を消すとして、火葬を推奨している。肉体から解放された霊には新たな感覚器官が宿り、活動範囲も飛躍的に広がるとし、いわゆる“故人”はこの宇宙で生き続けており、地上に戻ることもできるとしている。死後霊は地上よりはるかに意識が活発になり、死後は至福の世界であるという。
ウィキペディア(Wikipedia) 参照